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GaN MOSFET    2015(#07)


"SiCトレンチ型MOSFET" より続く

GaNではSi基板が使われ始めている(化合物半導体の基板 (2))。HEMTや横型MOSFETでは、Siとの格子定数の差による結晶欠陥の影響が抑制されると言われており、現在、International Rectifier、富士通、NEC、パナソニック、サンケンなどがこれに注力している。
また、GaNにおいても、HEMTがデプレッション型であってそれ故MOSEFTへのアプローチが存在する、という構図はSiCと同じである。現在、ゲート絶縁膜として例えばPECVDによるSiO2を用いる例がある(*1)。






*1)
「ノーマリオフ型窒化ガリウム系MOS型電界効果トランジスタの高出力動作」(古河電工時報 第124号 PDF)


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SiCトレンチ型MOSFET    2015(#06)


トヨタ自動車が、ハイブリッド車にSiCトレンチ型(*1)MOSFET(*2)を用いて公道試験を開始すると発表した。同社は、パワー素子による電力損失は車両全体のそれの約1/5を占めるとしている。

SiCは、半導体の素材としては部分的にGaNと似た立ち位置にあり、アプリケーションによってはSiに対して大きなアドバンテージを持つ。
SiCインバータ  FUPET  化合物半導体の基板(3)  Ga2O3
現在、送配発電プラントや鉄道用モータでは、扱われる電圧が数KV〜数十KVまで高くなっており、これはたしかにSiには厳しい環境である。一方、家庭用パワーコンディショナー(*3)やHEV/EVにおける数百〜数KV以下の条件では、回路技術の蓄積などによってSiが総合的に優位に立つ場合が数多くある。デバイス温度が極端に高くならない条件では、Siはまだまだ設計者に使い慣れた良い材料と言える。
標記ニュースは、そのHEV/EVにおいてもコストさえ合えばSiCは使えるかも、というものだ。電力損失のうちたった20%の部分の削減と言うよりは、まずは冷却用構造物の大幅な縮小にその効果が見えはじめる。

→ GaN MOSFET





*1)
SiC-MOSFET(特にパワーデバイス)には、トレンチ型対プレーナ型という構図がある。トレンチ型には、集積化に有利であること、JFET抵抗成分が存在しないことなどのアドバンテージがある反面、トレンチのコーナーにできる電界集中などに改善要素が指摘されている。デンソー、最近ではロームがトレンチ型を採用し、n-型エピ、ソーストレンチといった技術によって、これらを含めたハードルを超えようとしている。

*2)
量産レベルのSiCとしては、まずはショットキダイオード(耐圧が高いだけでなく逆方向電流が小さい)、次いでJFET、MOSFETが実現した。インバータはこれにともなって、一部SiC(ダイオードのみ)、JFETを用いたフルSiC、MOSFETを用いたフルSiC(*4)、と順に製品化された。先行の Infineon や United Silicon Carbide、SemiSouth Laboratories を除けば、ほとんどがMOSFETに重心を置くと考えられる。
SiC-MOSFETは、パワーデバイスのオン電流では既にSiを超えているが、理論的に期待されるパフォーマンスにはまだ届いていない。現在は主に、SiCウエハのマイクロパイプと転位、高温特性、p形伝導などに研究開発のベクトルは向いているようだ。

*3)
太陽電池用パワーコンディショナーの主な性能指標である変換効率は、2014年までにほぼ落ち着いており、0.5%刻みで、
Si: 96-96.5%(各社)
SiC: 98%(例:三菱電機 MOSFET)
GaN: 98%(例:安川電機 HEMT)
とされている。

*4)
SiC-JFETはデプレション型であって、例えばインバータとして用いるにはそのバイアス制御でコストが増える。これに対しSiC-MOSFETはエンハンスメント型にすることができ、Si-MOSFETと同じく比較的簡単な回路を用いることができる。


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Ga2O3    2015(#01)


独立行政法人情報通信研究機構(NICT)は、酸化ガリウム(Ga2O3)のデバイス製造プロセス技術のうち主にイオン注入とゲート絶縁膜に関する開発を行い、その結果、Al2O3をゲート絶縁膜とするMOSFETの動作を実証した。同グループは、これまでにゲートまたはアノードをPt/Ti/AuとしたそれぞれMESFETまたはショッットキダイオードを開発、報告していた。

Ga2O3は、他のパワー半導体に対するアドバンテージを2つほど持っている。ひとつは融液成長法によるウエハ製造コストであり、もうひとつはバリガ指数(*1)である。同グループは、パワー半導体でこれまで60%を占めていたデバイスコスト中のウエハ製造コストが1〜2桁低くなる(*2)と見積っており、またバリガ指数は4H-SiCの10倍であることも報告している。しかしその一方、この材料もやはりp型半導体の実現に大きなハードルがあること、そして他のパワー半導体材料に比べ熱伝導率が本質的に低いということが現時点では課題とされている。

HEMT/半導体レーザー/LED/宇宙用太陽電池など、四半世紀以上、市場の広がりにおいてはSiに比べ限定的であった化合物半導体だが、アプリケーションという切り口で見れば、この10年、高速高周波デバイス、高耐圧デバイス、大面積薄膜トランジスタ、太陽電池など、(一部をSiに奪い返されながらも)少しずつだが確実にターゲットを増やしてきた。
Ga2O3を含めた化合物半導体とSiとを合わせ、物性値や指数とこれまでの話題(ニュース)には以下のようなものがある。

【表】
パワー半導体の物性値と指数

【ニュース】
SiC (SiCインバータFUPET化合物半導体の基板(3))
GaN (ZnO基板上IMEC高耐圧トランジスタ民生品COTS(2)化合物半導体の基板(2))
CIGS (CIGSn-CGS)
SiGe (ft=26GHz)
Ga2O3 (Ga2O3)



*1) バリガ指数は、移動度の1乗と絶縁破壊電圧の3乗に比例させた評価指数である。
*2) ウエハコストのみの比較であることに注意。
*3) 4Hは正四面体を並べた時の多形のひとつ。Hは六法晶系を表す。
*4) βは多形のひとつ。単斜晶系。5つの多形のうち最も安定。
*5) 絶縁破壊電圧に対するオン抵抗は、材料によらずほぼ同じ比例係数の両対数相関があると言われている。ただ、その位置(オフセット)は異なる。同じオン抵抗で比べたときの絶縁破壊電圧は、Siを1とすると、SiCの20に対してGa2O3は50程度。


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ガラス基板GaN-LED    2014(#15)


東京大学生産技術研究所と鳥取大学のグループは、スパッタリング法を用いてガラス基板上にGaN-LED素子を作成する技術について発表した。

・グラフェンをガラス基板上に積層してスタートマテリアルとする。
・処理温度は500℃。
・現在のMOCVD法によるサファイア基板上GaNに比べ、量子効率は落ちる。
・赤色発光が可能(インシデンタル?)。


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化合物半導体の基板(3)    2013(#03)


"化合物半導体の基板(2)" より続く

では、同じパワー半導体としてGaNとライバル関係にあるSiCはどうだろうか。
こちらの基板は今のところSiC単結晶一色である。ただこの基板はバルクのままでは転位や粒界などの結晶欠陥が大きすぎ、したがって活性領域のSiCはGaNと同様やはりエピ膜で形成されるのが一般的だ。イオン注入や酸化膜など、SiプロセスのJFETやCMOSに準じたプロセスを目標としていることもあって、気心の知れたSiが基板に半分でもいてくれるとかなんとなく安心ではある。
現在SiCは、既にSBDが製品に採用され、JFETは歩留まりでSi-IGBTとのコスト競争に苦戦中(*1)、MOSFETはコスト対品質にブレークスルーを模索中(*2)、といったステージにあるだろう。いずれも、コストと性能との間の取引において、基板はデバイスの運命を左右する大きな要素である。






(*1)
標記、デンソー基礎研究所/豊田中央研究所のニュース。
(*2)
例えば、2010年、大阪大学、京都大学、ローム、東京エレクトロンが、ゲート絶縁膜としてSiO2に替えAlONを用いることによって、性能と信頼性を確保したSiC-MOSFETを提案している。
(*2)
アプリケーションが置かれる環境の変化によっては、コストのしきい値が相対的に緩和されることもある。例えば車載向けパワーTrでは冷却装置の小型化への要求が急速に大きくなってきている。


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化合物半導体の基板(2)    2013(#02)


"化合物半導体の基板(1)" より続く

化合物半導体においては、活性領域と基板とを分けて考えることが現在では一般的である。
すなわち、
・その上に成長する活性領域の特性
・製造工程の支持体としての性能とコスト
・動作の土台としての性能とコスト
これら3つの要素を別々にデザインすることが化合物半導体の基板には要求されている。それは現在ある一定のレベルで満たされている。

たとえばGaNでは、LED向けには現在安価なサファイア基板が大勢を占めるが、高電流密度時のDroopを低減するために低転位GaN基板も使われる。ピエゾ電界を抑えたり熱伝導率を優先するとして、ZnOやSiCが基板になることもある。さらにはSi半導体工場が世代交代を迎えるたびに、Si基板上GaNのコストが計算されたりもする。パワー半導体向けには一体どの基板が最適なのか、このあたりの丁々発止、まだまだ決せずと言って良いだろう。

→ "化合物半導体の基板(3)" に続く


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化合物半導体の基板(1)    2013(#01)


デンソー基礎研究所は、6インチSiCウエハであっても、基板のエッチピッド密度が現状のまま(Siより1-2桁大きい)である場合、200A級SiCーJFETのコストがSi-IGBTにはまったく届かない事を試算した。豊田中央研究所は、 SiC-SBDの逆方向電流不良の種類と基板欠陥の種類とをを関連づけた。日本ではこのように、基板メーカよりはむしろ車/車載に関わる資本のほうが、SiCに対してはより積極的な(あたりまえに厳しい)姿勢で実用化に取り組んでいる。中途半端な投資と「産学連携」の名ででっちあげられた結果を持って御用聞きにまわるだけの基板メーカなんていらないのよと、そう言っているのである。

このニュースは、SiCにとって基板はその欠陥がデバイスの歩留まりに直結する重要なアイテムであることを示している。では、SiCに限らず、化合物半導体にとって基板とはいったいどのようなものなのだろうか。Siの場合、デバイスとしての動作を主に担う活性領域と基板とは、長いあいだ我々にとってはなんの疑いもなく一体であって、ひとつは製造工程の機械的な支持体として、またひとつは動作中の電気的/熱的な性能をサポートする土台として、活性領域と同じ材料の基板は、活性領域の特性とのバランスを保ちつつ十分に機能した。
ただ、これはそれほどあたりまえの事ではない。

→ "化合物半導体の基板(2)" に続く


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FUPET(2)    2011(#10)


もう片方が目立って不細工だったので忘れられそうだが、実はFUPETが本当に負うべき期待はこちらにある。

 「新材料パワー半導体プロジェクト事業」 (年間予算20億円程度 '10〜'15年)

SiCウエハを手がける企業が参加しており、予定では今年、プロトタイプ炉から実証炉に実験の主体が移る。目標は次のとおり。
・革新的SiC結晶成長技術
・6インチウエハ
・5kV MOSFET

今となっては数値が地味でそれに見合ってか予算も小さい。しかし、材料/運輸重工/資源エネルギーと並び安全保障上決して空け渡してはいけない半導体製造という城の、パワー半導体は一翼をかろうじて守備している。1/4を失うかどうかの瀬戸際にいるのである。我々は前出のグダグダな関連事業をまとめて蹴っ飛ばし、目標を全面的に見直さなければならない。我々はこのような失敗とこれからの再編成を決して批判してはならない。

$rarr; 参考記事: "FUPET"


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FUPET    2011(#9)


9月6日、FUPETは同パワーで世界最小の完全空冷オールSiCインバータを開発。出力15kWのモーターの連続動作に成功したと発表した。

FUPET(次世代パワーエレクトロニクス研究開発機構)とは、NEDOによる委託事業であり、東芝、日産自動車、富士電機ホールディングス、サンケン電気、昭和電工、産業技術総合研究所などが参画する(技術研究)組合である。

同組合のWebページ、「追求」やら「成熟」やら「革新的」やら意味の薄い単語がズラリと並ぶロードマップには眠気を通り越してなにやら愛嬌までも感じられ、そして公報にある2つの事業のうちのひとつ「インバータモジュール」、これがいかにも象徴的(省庁的)で笑わせる。
 「次世代パワーエレクトロニクス」 (年間予算6億円程度 '09〜'13年)
以下、ここ一年のアウトプットをいくつかリストする。文末のリンク先にある数値とここに掲載の数値とを比較するとわかりやすいだろう。

ーー2010年CEATECーー
・オールSiCの3相インバータモジュールを開発
    出力:10kW(400V,25A)
    体積:約500cm3(外形寸法:151mm×91mm×37mm)
    出力電力密度:20W/cm3
    スイッチング周波数:50kHz
    入力電圧:600V
    JFET:SemiSouth Laboratories社製
    SBD:SemiSouth Laboratories社製

ーーSiC及び関連ワイドギャップ半導体研究会 第19回講演会ーー
・チップの低インダクタンス化について発表
    チップ周りの延べ配線長を5cmに短縮(インダクタンス:50nH)
    電流を対向(実効インダクタンス:15.3nH)

ーー2011年9月6日−−
・同パワーでは世界最小の完全空冷オールSiCインバータを開発 ・出力15kWのモーターの連続動作の成功
    出力:15kW(400V)
    体積:約500cm3(146mm×91mm×38mm)
    出力電力密度:30W/cm3
    スイッチング周波数:8kHz
    JFET:SemiSouth Laboratories社製
    SBD:SemiSouth Laboratories社製

古くは"GTEC"、最近では"次世代大型低消費電力液晶ディスプレイ基盤技術開発プロジェクト事業"や"次世代モバイル用表示材料技術研究組合"に並ぶ、はなから打つ気のない見逃し三振がこの組合の実態なのである。ガ島奪還戦/ソロモン海戦以来アリバイ作りのDNAはいまだ健在だ。そして1億3千万人に「たかが6億円ぽっちヒステリックに追求するなんざガキのやることさ」と威張らせておく、その戦術は世界最高の水準にある!

→ 参考記事: "SiCインバータ"


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SiCインバータ    2011(#8)


SiCを用いた半導体は、ショットキダイオードの他に、JFETが製品化されている。
例えば (米)SemiSouth Laboratories社、ノーマリオフであればこれくらいの性能が製品として入手できる。

--SJEP120R063--
 nJFET normally-off
 BVds(BreakdownVoltage): 1200V
 Rds: 63mΩmax
 Ets(TotalSwichingEnergy): 440uJ
 Pd(PowerDissipation): 250W
 Θja: 50℃/W
 Id_c(Continuous): 20A(150℃)
 Package: TO-247

同社は評価用ゲート駆動回路も回路図付きで併売している。
--SGDR600P1--
 opt-isolated
 250kHz
 0-100% Duty

(SemiSouth Laboratories社は昨年、SBDとJFET両方にSiCを用いたインバータモジュールも開発している。)

日本でもインバータやモータードライブの試作に、この評価用資料がたいへんに役立ったという向きは多いはずだ。以下は余談である。
定められた目標に向け設計を始めるとき、部品とともに公開される情報がこれをどれほど支援してくれるか、皆さんは身をもって体感しておられると思う。例えば、TI、LT、AD、MAX、など米国発のオペアンプを使うとき、そのデータシートであたりまえに公開されている内部回路やレイアウトを参照するにつけ、かの国の社会のベースにある産業の定義に私は圧倒されるのだ。なぜだろう。世紀末、日本が官民で選んだ「ブラックボックス化」なる戦術はその対極にあるものだからだ。技術力ばかりか市民の底力(*1)のようなものまでがいかに幼稚であることか、このような仕様やビジネスに接するたび私はまた絶望するのである。P51ムスタングやグラマンF6Fの足下にも及ばなかった日の丸戦闘機の技術力を「圧倒的な物量に負けたのだ」と後世の擁護するがごとく、「どこにも負けない日本のものづくりは」などと集団でなぐさめ合い、安心を求めて拠り合う心、そのあまりにも実体のない実態に、戦後はまだ終わっていなかったのだと私はまた確信するのである。

→ 参考記事: "FUPET"






(*1)
→ "産業2015-b"
(+ 2015年)


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民生品COTS(2):GaN    2009(#13)


← "民生品COTS" より続く

富士通研究所が無線通信向けのGaN-HEMTをチューンナップして発表した。ゲート長を0.25μmに微細化し、ゲート・ドレイン間隔を最適化。このデバイスを用い、Xバンドで効率53%/出力101Wの増幅器を開発、これは従来のGaAs-HEMTを用いたものに対し電波到達距離で約2倍に相当する。またCバンドでは出力343W、同じくGaAs-HEMT比で電波到達距離は約2.6倍。

さて、FCS-3と呼ばれる海上自衛隊の射撃指揮装置は、フェーズドアレイレーダにそのCバンドとXバンドを両方用いる。出力デバイスは現在のところGaAsだが、計画中の次期汎用護衛艦からはこの話題と同じGaNを使うとされている。

フェーズドアレイレーダを使うシステムには、各バンドごとに以下のようなものがある。
Lバンド(1-2GHz): FPS-5、OPS-24
Sバンド(2-4GHz): FPS-5、SPY-1
Cバンド(4-8GHz): FCS-3、OPS-50
Xバンド(8-12GHz): FCS-3、OPS-50、SPY-1
  SPY-1以外、出力部はアクティブ型。
  OPS-24の水平は回転式。



また、こちらはミリ波だが、同時期にNECがSiウエハ「上の」GaNトランジスタを用いて76GHz帯送信アンプの動作を実証した。車載レーダシステム向け。
トランジスタ自体の耐圧は55V、最大発振周波数は160GHz。
アンプの周波数帯域は75~81GHz、ミリ波出力は15~25mW、ゲインは6~9dB。

→ 参考記事: "高耐圧トランジスタ"


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民生品COTS    2009(#12)


2009年横須賀を定係港に就役した海上自衛隊護衛艦「ひゅうが」(IHIマリンユナイテッド建造)、その旗艦用司令部作戦所(FIC)、および戦闘指揮所(CIC)が公開された。

FIC/CIC共、対角50〜60インチクラスの平面ディスプレイが複数、壁上方に設置されている。民生品としての一般的な性能については同等以上のものが既に民間には浸透しており、強度や冗長性などに特別な要求性能があったとしてもそれは論理的に対応できるものだ。(おそらく携帯電話向け小型LCDへのバカげた要求のほうがずっと厳しい。) また、横長の机の上には十数台のLCDが端末として設置されている。一部に金具が取り付けられ机に固定されているとはいえ、ほぼ民生品そのままか強化プラスチックを勘め合わせた程度のLCDである。さらにキーボードとマウスが机の上にこちらはただ置かれており、一般公開に合わせてかWindowsのロゴが表示されたままの画面は、「戦後の戦争」に対するカウンターバランスとしての親近感や平和、そんな演出になっていたのかもしれない。

1993-95年に摘発されたT社に対する過払いとその返納額の減額という背任は、98年関係者の逮捕によって明るみに出た。その後N社など3社についても過払いが発覚する。これらの事件と相前後し、08中期防(95年閣議決定)では、まず調達価格の抑制、情報化への対応、調達/補給の合理化が課題に取り上げられている。また96年には取得改革委員会が設置され、明確な目標値をもって民生部品/民生製品の活用が進められることになった。
研究開発: 民生部品の活用による開発中装備品の見積単価低減
調達: 要求条件の緩和、防衛庁規格の廃止、による民生製品の採用

だがこのような事件が無かったとしても、例えばディスプレイに関しては、それまで民需が押し上げてきたこの技術はあたりまえに採用されることになったはずだ。同様のことは例えば電池や熱サイクルなどエネルギーの蓄積と変換に関するデバイスについても言えるだろう。さらに半導体分野では、計算の処理速度/容量は言うに及ばず、レーダーや無線通信でさえ小型低損失という課題に対しては、民生品の軸出力が軍事に限定した研究開発のそれを上回る例は多い。そして上に述べたとおりCOTSの一番の目的は調達コストの低減である。問題はあるにしても専用品との比較対象から外される事は少なくなってきた。実際、F-22やF-35などの第5世代戦闘機に装備されるモジュール型アビオニクスは、このような逆転を適宜取り込むためのプラットフォームにもなっている。

→ "民生品COTS(2):GaN" に続く


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高耐圧トランジスタ    2008(#1)


IEDMの開催にあわせ、三菱電機と松下電産が高耐圧トランジスタを発表した。
三菱電機はマイクロ波帯用のAlGaNで1600V、松下電産はGaNパワートランジスタで10000V。
三菱電機の発表はチャネル材料(AlGaN)、松下電産の発表は構造(貫通電極)と製造プロセスに関するもので、それぞれ用途は異なる。

周期律表第2周期の比較的軽い元素は、その格子定数の小ささから、Ⅲ-ⅤやⅣ-Ⅳ化合物半導体としてバンドギャップを広げなだれ降伏を抑制する。また原子同士の結合が強く、したがって化学的に安定で飽和ドリフト速度も高い。GaとNの組み合わせは、ミリ波帯を制するか/IGBTやMOSFETにとって代わるか/MOSは/LEDの基板は、そんなところが試され続けている。
電子移動度が100cm2/Vsと言われた時代から長い時間をかけて文字通り「成長」してきたこの化合物半導体は、今では複数の異なる産業で高いフィギュア・メリットを示し、一部その中核をなすようにまでなった。規模を拡大し続ける事でなんとか生き延びようとしているあの恐竜のような産業が主張する「技術」とは根本的に違うものである。要注意。


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日亜化学工業が150Lm/W(20mA)の白色LEDを発表    2006(#18)


LEDの外部量子効率、および改善のポイント(LED/蛍光体)は共に不明。
照明用LEDの分野では、この他に、既に外部量子効率が50%を越えている4元混晶AlGaInP(650nm)や、半/無極性基板でブレークスルーを目指すInGaN(530nm)との組み合わせも次の技術として期待されている。今回の値は、電光効率の面で蛍光体白色LEDが主役の座を明け渡すことは当分ない、という強い印象を与えた。ちなみに高圧ナトリウム灯は130Lm/W、高演色蛍光灯は90Lm/W。照明デバイス自身だけでなく周辺部材の寿命や技術的なハードルの高さもこの電光効率に大きく依存することから、複数の業界がこれに注目している。






(注:光束Lm=lmの単位はcdsr。照度Luxはcdsr/m2。150Lmとは、集めれば1平方メートル全体を150Luxに照らすことができる光束。)


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東京大らのグループがZnO基板上にGaN結晶を作製    2006(#12)


東京大学、神奈川科学技術アカデミーと三菱化学は、ZnO基板上に無極性面を露出させたGaN結晶を形成した。無極性面は、サファイア基板にGaN結晶層を成長させたときに露出するC面とは異なり、ピエゾ電界を発生しないことが特徴である。ピエゾ電界は電子とホールの再結合確率を抑制し、内部量子効率を下げる。

GaNと格子定数が近く同じウルツアイト構造を持つZnO基板は、GaNの無極性面を露出させ、デバイスの量子効率を上げる為の基板として注目されていた。しかしGaNの結晶成長過程において、これまでは両者の界面反応を制限する事が非常に難しかった。今回はそれを改善した。方法は製造プロセスに関するもので、そのポイントは励起手段である。


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