【注意】 図研CR8000のSI解析はあくまで簡易的なものです。また、多くの問題が残っています。



♦そもそもの基本仕様から客先の期待に応えられないことが少なくありません。予め断っておかないとトラブルを引き起こす原因となります。

・配線の曲がりが解析に反映されない(3Dフィールドソルバが使われていない)。
(CADは伝送路の長さや幅と断面に関わる計算値を提供するだけで、解析はプリ解析とほぼ同じものです。)
・VIAが単純なパイ型LRCである。
・IBISの「Pin Mapping」に対応していない。
(バッファの電源は無限の供給能力を持った単純なモデルであり、デカップリングや複数バッファのスイッチング電流は考慮されません。)
・IBISの「Model」キーワードの、モデルタイプ「3-state_diff」に対応していない。
・IBISの「Diff Pin」キーワードにある「inv_pin」をポジ/ネガの判別に使っていない。



♦バグが多く、使いにくい部分も放置されたままです。図研のSI解析は実際には殆ど使われていないようです。

・IBISのModel_typeが「Input」であるモデルと「3-state」であるモデルを同時にインポートできない。(*1)
・IBISのModel_typeに「Input」と「3-state」が混在するとエクスポートができない(DFバージョン依存あり)。(*1)
・差動ピンにモデルを割り付ける方法に隠れた制限がある。(*1)
・差動ピンに「3-state」モデルを割り付けることができない(DFバージョン依存あり)。(*1)
・差動ピンのポジ/ネガに別々のモデルを再割付することができない(DFバージョン依存あり)。(*1)
・トポロジの表示でポジピン/ネガピンに関係無く反転マークが付くことがある。(*1)
・複数のComponent nameをモデル名に付加することができない。(*1)
・シナリオを編集したあとに「シナリオを別名で保存」を実行すると正しく保存されない。
(「シナリオを保存」(上書き注意)と「シナリオを別名で保存」とを必ず順にセットで実行する必要があります。)
・抽出されたトポロジの表示は実際の構成を表していない。
(配線や部品の重なりは手動で整理してください。ビアの位置は層構成を反映していません。)
・トポロジの表示や編集の操作が特殊で制限が多い。
(統一されていない複数のプログラムがオブジェクトに個別にアクセスし、準備も結果も衝突しています。)
・解析ライブラリのインポートや削除に数時間かかることがある。
(IBISファイル中のモデル数が1000を大きく超える場合、使わないモデルは削除しておくのが現実的です。)
・解析ライブラリの共有(=サイトライブラリ)が効果的に運用できない。
(使用するのはユーザライブラリに限定し、インポート/エクスポートで対応するしかないでしょう。)

(*1) ⇒ リンク「SI解析におけるモデルの取扱に関するバグと対策」を参照のこと


(追加)
+SI解析ではSパラメータ(PI解析でもZパラメータ)について図研のサポートは対応できません。ご注意ください。
+PI解析では基板間容量の重複処理にも解釈の誤りがあり、インピーダンスなどの結果が最大倍/半分程度に振れます。ご注意ください。